Cocos2d-x でネイティブ連携する方法
Cocos2d-x でゲームを開発していると広告を表示させたり、ランキングを追加したり、課金を入れたり、SNS や Twitter と連携したり、アクセス解析をしたり、など iOS や Android の機能を使わないと実現できない機能があります(このようにプラットフォームと Cocos2d-x を連携させることをネイティブ連携と呼びます)。Cocos2d-x には Plugin-X というネイティブ連携のための仕組みがあるのですが、提供されている機能が少なくまた導入が複雑(特に Android)で導入するメリットがあまりないのが実情です。
どうせなら自前で実装したほうがいろいろと便利だし iOS や Android の知識も深まるのでこの記事では Cocos2d-x 3.4 Final でネイティブ連携する方法について説明します。ネイティブ連携の仕組みは一度開発してしまえば似たようなコードを書かずに、Objective-C と Java を書くだけで機能追加できるようになるので覚えておいて損はないと思います。
ネイティブ連携の仕組み
ネイティブ連携は新規にクラスを作成してヘッダファイルのみ共通にして実装ファイルを iOS 用、Android 用と分けます。iOS の場合は Objective-C++ で実装を書きます。Android の場合は実装部分に JNI の呼び出しコードを書きます。実際の処理はあらかじめ Java 側に用意しておきます。
ネイティブ連携用クラスの作成
それでは連携用の NativeLauncher クラスを作成します。以下のようにヘッダと実装ファイルを作成してください。
例えばネイティブ連携をしてハイスコアを登録する機能を作成する場合は以下のようにクラスにメソッドを定義します。
#include "cocos2d.h" class NativeLauncher { public: // ハイスコアを登録する static void postHighScore(int score); };
Xcode の設定
開発に Xcodeを使っている場合は NativeLauncher.cpp ファイルをコンパイル対象から外す必要があります。
削除手順は Project Navigator からプロジェクトのルートを選択してプロジェクトの詳細画面を表示します。次に「TARGETS」の「プロジェクト名 iOS」を選択して「Compile Sources」から NativeLauncher.cpp を削除してください。
NativeLauncher.mm の実装
iOS の場合は Objective-C++ が使えますのでメソッド中に直接 Objective-C のコードを書いていきます。
#include "NativeLauncher.h" #import <GameKit/GameKit.h> void NativeLauncher::postHighScore(int score) { GKLocalPlayer *localPlayer = [GKLocalPlayer localPlayer]; if([localPlayer isAuthenticated]) { // 処理... } }
Java の実装と NativeLauncher.cpp の実装
Android の場合は少し複雑でまず Java で実装を書いてからそのコードを C++ から JNI を経由して呼び出すことになります。Android のネイティブ連携コードは基本的には proj.android にある AppActivity クラスに書きます。
AppActivity クラスの詳細はこちらの記事を参照してください。
package org.cocos2dx.cpp; import org.cocos2dx.lib.Cocos2dxActivity; public class AppActivity extends Cocos2dxActivity { // 気持ち悪いけど static メソッドから参照するときに必要 private static AppActivity me = null; @Override protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) { super.onCreate(savedInstanceState); me = this; } // JNI から呼び出されるメソッド public static void postHighScore(int score) { // UIスレッドで実行 me.runOnUiThread(new Runnable() { @Override public void run() { // 処理... } }); } }
あとは C++ からJNI で postHighScore メソッドを呼び出します。
#include "NativeLauncher.h" #include "platform/android/jni/JniHelper.h" #include <jni.h> #define CLASS_NAME "org/cocos2dx/cpp/AppActivity" void NativeLauncher::postHighScore(int score) { JniMethodInfo methodInfo; if (!JniHelper::getStaticMethodInfo(methodInfo, CLASS_NAME, "postHighScore", "(I)V")) { return; } methodInfo.env->CallStaticVoidMethod(methodInfo.classID, methodInfo.methodID, score); methodInfo.env->DeleteLocalRef(methodInfo.classID); }
Cocos2d-x が JniHelper という便利なクラスを用意してくれているのでそれを使います。JniHelper クラスの getStaticMethodInfo メソッドの第4引数が暗号じみてよくわからないかもしれません。int 型の引数を取り戻り値は void という意味です。